相続税の税務調査の対象になるのはどんな人ですか?
相続税の税務調査が行われるかどうかは遺産総額の多い少ないで決まるわけではありません。
税務調査は相続税の申告総数のうち、20%~30%で実施されます。その中には、遺産総額が多いものだけでなく、安易な節税をやっている案件や申告すべき遺産に申告漏れがあるケースなども含まれます。ただ、実際には確かに相続財産が多いケースは調査の確率が高いように思います。これは「財産が多い=指摘すべき点が見つかる可能性が高い」という税務署の考えがあるようです。ということは、財産総額が少ないケースであっても明らかにおかしいお金の動きなどがあれば税務調査になるということです。
実際に税務調査が行われる確率が高いのは、下記のような動きがあるときです。
- 家族の名義の預金が多い
- 大きな金額の引き出しがある
- 相続人で争いがあって、相続税の申告書が別々で提出されている
- 相続人の年齢や仕事内容からして財産の金額が多い
こういった内容が見受けられますと、税務署も調査をしたくなります。
特に税務署は「大きな金額の引き出しがある」という点には着目をします。振り込みであればお金の動きが追いかけられますが、現金で引き出された場合は追いかけるのが難しいのは事実です。
そのため、現金引き出しを利用してお金を隠したり、他の名義に変えたりする人が後を絶たないという事実も税務署はよく知っています。近い日付で同じような金額の何かが動いていないか、貸金庫の中に入っていないか、など現金引き出しは特に注意を払って調査してくるとお考えください。
また税務署では申告書が提出されると内部で調査対象にすべきかどうかの「申告審理」が行われます。故人の過去の所得税の申告などを見れば、想定される遺産総額が計算されますので、その金額と整合しているかを見ます。
このようにいろいろな方法で多方面から税金の取れる可能性を探り、綿密な下調べを行って調査が行われます。結果的には、相続税の税務調査は、追徴税額が出る確率が8割という高い割合になります。