税務調査官の出世や異動はどのように決まるのですか?
調査官の評価は3月末の査定までにどれだけ追徴税額を持って帰れるかで決まります。
私自身、税務署で調査官をしていましたので、税務署の裏事情には精通しています。
その中でも特に知っておいていただきたいのが、今回のテーマの「税務調査官の査定」についてです。これを知ることで、税務署の調査官の行動の理由がわかるようになります。
まず知っておいていただきたいのが、税務署の「異動の時期」です。
税務署の事務年度は7月から翌年の6月までで、人事異動は7月に行われます。
だいたい3年~5年に一度くらいの頻度で転勤があります。希望の部署に異動するためには、査定結果を良くしないと希望通りにはなりません。査定は年に2回、3月と9月に行われるのですが、異動に直接結びつくのは3月の査定です。3月末で締まる評価が重要視されますので、調査官も3月末までに良い結果を出そうと頑張ります。
調査官の査定は「増差」というものが重視されます。
増差とは、税務調査に入ったことで追徴できた税額のことです。平たく言えば、「調査に入って税金をいくら持って帰ってきたか」ということですね。こういったことを考えると、8月から始まる新年度で3月末までにいくら追徴税額を持って帰れるかが調査官のモチベーションになりますので、自然と調査にも熱が入ります。
とはいえ、1月から3月までは個人の確定申告の時期になり税務署が年で一番忙しい時期になりますから、8月から12月までが調査が一番熱くなる時期ということになります。
ちなみに、調査の件数にはノルマがありますが、増差の金額にノルマはありません。
でも増差が多いほうが希望の部署に行ける可能性が高いということは、ある意味ノルマを課されるのと同じ効果がありますね。また調査で不正を見つける人は税務署の中で英雄のように見られます。逆に見つけるのが下手な人は軽く見られがちです。私自身、調査官をしていたときに調査で大きな追徴が取れたときは、意気揚々と税務署に戻ったものです。